大家ポールの生前葬に花を送って満足したカズキタ少年。
新たに仲間に加わった少年ぞのに最初の試練を与えた。
「モテアマスに入居したかったら、ロゴ入りのケーキを綺麗に焼くこと」
しかし、ぞのはうまくケーキが焼けなかったため入居が完全には許可されず、入居してるけど寝る部屋はないという状態で決着をつけた。
こうして、テントに軟着陸したぞのの住処をよそに、住民のとんかつDJ太郎はキレてるライムを刻み始めた。
俺はDJサークルの大学生。音楽に本気の俺はサークルメンバーにも厳しく当たってしまい、中々仲良くなれない。今日も一人教室に機材を持ち込んで、夜遅くまでトラックメイクしている。
昔はそんな俺を弟のように可愛がって接してくれる先輩がいた。その先輩にはずっと付き合ってる彼氏がいたけど、俺はその先輩のことがいつの間にか好きになっていた。
ふと、スマホを見ると、その先輩からのLINE。「今、何してる?」教室でトラックメイクしてると返すと、今から行くから待ってて、と。教室に来た先輩は、少し大人びた服装だったけど、話をするとあの頃の先輩だった。最近、ずっと付き合ってた彼氏と別れて、今までとは違う自分になりたいと、転職活動中らしい。
「でも全然上手く行かなくて。自分が何をやりたいのかがわからなくてさ。で、君と音楽やってた頃を思い出して、あの頃はやりたい事やってたんだなぁ、と思ったら、急に会いたくなっちゃってね。」
「君の作った曲、聴かせてよ。」
ウーハーの重低音が響く。彼女は、僕の耳元に口を近づけると、「あの頃、私のこと少し好きだったでしょ」と、吐息混じりにささやく。
思わず、「そんなこと無いですよ。」と答えると、少し悲しそうな顔で、「ふーん。」と呟いた。
気まずい雰囲気の中、曲が終わると、「眠くなっちゃった。それじゃね。」と言って彼女は帰って行った。あの時、素直に答えることができたなら…。
あの頃好きだった人。
昔は好きだったのに、久々に再開したらエロくなっていた。
その子が今週から入居を始めたんだ。
すごくエロいその子は、明るくて、眩しくて、まるで太陽のように僕らの服を脱がしていく。
脱がされまいとモテアマスのリビングで頑なに仕事をしていると、三茶に住む友人が急に訪ねてきた。どうやら焼肉を食べたあとに散歩していたら辿り着いたようだ。
僕は精一杯に客人をモテなそうと思い、必死でジェンガを組み立てた。
ジェンガをひとしきり楽しんだ彼女たちは、風のように去っていった。
鯖江の村の有力者が訪れたことで、モテアマスのパワーバランスは崩壊し。
僕はそれをよそめに、歌舞伎町で女子大生を口説き。
気づけば週末になり、モテアマスは祭りモード。
ファッションショーが行われたり、ジェンガの整体が始まったり、最後はみんなでご飯を囲んで幸せを感じた週末だった。
完。
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